後向きの向日葵
彼らとは何度か、飲み会やカラオケで遊んだ。
やがて、集団の事情が徐々に呑み込めて来た頃、時期を合わせるように先輩が聞いてきた。
「実はね、好きな人がいるんだ。
ソラさんは・・・そのぅ・・・、あの中の誰だと思う?」
「!、(もちろん、)鎌田君ー!」
私はにこにこしながら、間髪入れずに答えた。
「わ・・・。」
モリ先輩は目を丸くして、急にソワソワし出した。
「ソラさんには、わかっちゃったかぁ。」
「ん~、わかるよぉ。
男の子たちのメンバーは趣味を通して、
会う度に人数が増えてる。けど、わかる!!
だって見ていてさ、彼しかいないよね。」
「えっ、そう?・・そういうもんなんだ?」
そこで、私はウンウンと頷く。

先輩がお目当てとする鎌田君は、グループのリーダー的存在だった。
眩し過ぎずに明るくて、どこかさっぱりした感じ。きっと、人に好かれるタイプだと思う。
先輩の言葉は、更に続く。
「それとね、鎌田君の親友の坂上君がいるでしょ。」
「実はね私と鎌田君が、ソラさんが坂上君・・・。
そうなればいいのになぁ、なんて思っているんだ。」
「えっ?そんなことを考えていたの?
・・・でも、そういうのも楽しそうだね。」

そんなことを密かに語り合った数ヶ月後、先輩の願いは叶い、鎌田君と先輩は無事につき合い出した。
それどころか、私と坂上君の件まで現実となった。鎌田君の近況に刺激されたのか、坂上君のアプローチが始まったのだ。
そんなこんなで順調に見えた私たち・・・、だけど、ここにあるネットワークが、後の災いを促進していくことになる。
大所帯とは安全器でありながら、危険な形態でもあったのだ。

運転免許と愛車の獲得によって平均年齢21歳前後の、若者たちの活動領域は広がり始めた。
恋愛の成就は更に、場を活気立たせた。
しかし、彼らは、まだまだ世の中に出たばかりの、子供であるには違いなかったのだ。
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