Blue Book
またイスをひく音が響き、ぞろぞろと友達の元へ向かうクラスメート。

私はそこから抜け出すように教室を出て、一目散に階段へ向かった。

私には始めてのこと。ドキドキとともに階段を上り、物置のようになっている教室に足を踏み入れる。

もちろん、どんな理由でみつかるかわからないため、音がしないように扉を開けた。

多分。

だって心臓の音がうるさかったし…。本当に、ドキドキしてたんだもん!

「はぁ……」

落ち着きなく教室内を歩き回り、何に使ったのかもわからない、床に落ちている麦藁帽子を拾ってみた。

机は全て後ろにさげられていて、その上には色褪せた画用紙や布のかたまり。紙で作られた花なんてのもあった。

「どうしよう…」

授業が始まれば、先生達は私を捜索し始める。

いつも誰かがサボると、先生達が慌ただしく廊下を走っているのを、私は眺めていた。

なんか――…


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