黒猫眠り姫〔上〕[完]
それからは、テレビを二人で見てのんびり
過ごした。時間はゆっくり進むようで早い。
「そういえば鈴、さっき俺が書いた小説
読んでたよねぇ~。真剣に見てるからつい
話しかけられずにいたよ。そんなに面白かった?」
「暇だから見てただけ。でも、面白かったよ。」
「そう。よかった。ところで、もうすぐ12時
過ぎるよ。そろそろ寝よう。」
「うん。」
テレビを消してベットに入ると温もりがあった。
さっきは、一人で広すぎるベットも二人だと
違うみたいだと気づく。すぐ近くには、ご主人
様がいる。なんとなくもう少し湊に近づく。
温かさをほどよく感じた。今まで人生の中で
一番落ち着けるこの場所は居心地がいい。
「鈴。いつでもいいから、たまに来てくれると
うれしいな。鈴、温かいからこのベットでもゆっ
くり寝れる。大きいよねこのベット。」
「なんで買ったの?」
「貰ったんだよ。」
「そっか。来るよ、ここ居心地いいから
また来る。だから、湊も一緒に寝よう。」
「そうだね。一緒に寝ようね。でも、さっき
みたいに警戒しないの?」
顔を向けて聞いてくる湊に少し動揺した。
あまりに突然すぎる行動に思考回路が停止する。