黒猫眠り姫〔上〕[完]
「それじゃ、行こうか?」
「うん。服これでいいかな?」
「いんじゃない?」
「うん。それで、どうやって行くの?」
「車。」
「車?湊、車運転できるの?」
「出来るよ。」
「へー。」
「早く行くよ。」
「うん。行こう。」
湊は、運転席に着くと夜の街に進んでいった。
「湊、これ安全運転すぎない?」
「そう?」
「うん。」
「まぁ、安全運転に越したことないよ。」
「そうだね。」
そんな感じに、車内ではどうでもいいような
会話だった。けど、いつの間にか夜のネオンが
輝いている町に目の前が広がっていた。
「ここだよ。」
湊が案内してくれたお店は小奇麗な洒落た感じの
バーだった。
「湊もよく来るの?」
「どうだろう?最近は来てないな。」
「ふーん。」
「あっ、鈴、桐居たよ。」
「ホントだ。」
「驚かしに行こうか。」
「うん。」
カウンターみたいなところでお酒のボトルを
抱えている桐を発見した。
「桐。」
「えっ、幻覚?」
「何を言ってんの?」
「何でこんなとこにいんだよ。」