黒猫眠り姫〔上〕[完]
「どうしたの、鈴?」
「・・なんでもない。警戒したのは、
知らない人だったから、今は湊のこと
少しだけわかる。」
「えっ、俺ってわかりやすい性格!?
なんかやだなぁ~。」
「いいんじゃない、それじゃないと湊
じゃないよ。」
「そう?それならいいよ。鈴がそう言うなら。」
「きざなセリフ。でも、小説家なんだからおかし
くないね。」
「なんか、いきなり冷たくない?」
「そう?そんなつもりないよ。」
「ふふ。楽しいね。」
「何?どうかした?」
「別に、ただ鈴がかわいいなぁと思って。」
「へんなの。可愛くなんてないよ。」
「鈴は気づいてないだけだよ。自分の魅力に。
俺はすごくかわいいと思うけど?」
「そんなのわからなくていい。」
「なんで?」
「知りたくない。」
布団の中に隠れようとした。