黒猫眠り姫〔上〕[完]

「鈴の噂は、すげーいっぱいあるんっすけど、

有名なのは、授業中に眠る「黒猫眠り姫」

なんていうあだ名が。」

「えー!!鈴かっけー。」

「桐。」

「あはっ。すまん。」

「それで、授業中に寝ているのは、夜寝てないから

なんじゃないかって言うことで、夜に働いている

んじゃないかとか、男の家にいるんだとか、頭は、

大学卒業してもおかしくないぐらいいいとか、

そんなかんじでさまざまですね。」

「へー。みんなには、そんな風に見えてたんだ。」

「へっ。」

「尚は、知ってたのに私に話しかけてくれたんだね。」

「あ。うん。」

「授業中寝てるのは、本当のことだし、そんな疑いが

かかっててもおかしくないな。」

「えー鈴寝てんの?」

「うん。最近は、うつ伏せで寝たふりだけど、

最近は、夜寝てたから。」

「それって。」

「不眠症。っていうのかな。夜は特に酷くて、

今まで、ずっと寝れなかったから。」

「なんだ。そういうこと。」

「でも、どうして?」

「それは・・・言わなくちゃダメ?」

「いや、いいよ。言いたくないことは、無理

しない方がいいんだから。」

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