黒猫眠り姫〔上〕[完]
思い続ければ思うほど、帰りの遅い鈴が心配に
なる。時間が経てば立つほど、不安が頭を支配する。
こんなこと、以前も同じことがあった気がする。
あの時も、今みたいに頭が可笑しくなりそうだった。
でも、帰ってくるはずの鈴が帰ってこない気がして
自分の動かないからだがどうしようもなく無念に
思えてしかたなかった。
あの時、一緒に行ってればなんて思う。
結局、後悔することが多いこの性格は自分の一番
の欠点だと思う。
こんな自分が、いつも嫌だった。
「湊って心配症だよな。」
「そんなことないと思うけど。」
「昔から心配症だったからね。」
「桐は、落ち着きのなさは誰よりも上だったからね。」
「何を~根拠に。」
「あのー喧嘩してる場合じゃないっすよね。」
「うぜー」
「ひどいっすよー」
「でも、鈴あまりにも遅すぎるだろう。」
「そうっすね。」
その時、店内になぜかのざわめきが聞えた。
その騒ぎが大きくなるほど、近づく影は、
暗闇で見えなかった。
不安に渦巻く感情が、バカみたいに、
大きくなる。
この時は、まだ何も知らない自分が、
後悔することになるのは、鈴が姿を
現した後。
つまり、手遅れ。