黒猫眠り姫〔上〕[完]
弱いところなんてもう見せられない。
頼るばっかの私を最低でもいいから、
誰にも知られたくない。
今、湊たちに会っても、自分を守る言葉しか
でない。そんな、最低な私なんて知らなくていい。
最後まで、強がりで意地っ張りな私は、
素直じゃない可愛くない子。
そんな私が、誰かに甘えちゃいけない気がした。
甘えることは、自分が可哀相だと同情している
みたいに思えてどうしても出来なくなった。
湊の言葉が支えで、甘えることをしてみたくなった。
ただそれだけなのに簡単に崩れた心は、
最初から空っぽだった。
何も感ぜず、嬉しいも悲しいも怒ったりもしない。
そんな心だった。
最初から知らなくて良かった。
知ってしまえば消せなくなる。
嬉しいも、寂しいも怒ったりも。
そんな、感情知りたくなかったよ。
知りたくなかったよ。
知ったらもう知らなかったあの頃には、
戻れないから。
自分が守れなくなる。
小さなことでも、心に敏感になる。
まだ、そんな感情いらないそう思った。
空っぽでいることが唯一自分を守れる
手段だった。
誰も、気づいてくれなかった。
ただそれが、誰も知らない心の痛みを
隠すすべだったから。