黒猫眠り姫〔上〕[完]
「湊笑いすぎ。」
鈴が、機嫌を悪くしたことによって、
笑いは止まった。
「はは。ごめんね鈴。」
「まだ笑ってる。」
その時にガチャという音と共に、
桐と尚と満が順に入ってきた。
「・・鈴?大丈夫か?」
「鈴?」
「・・・・・・」
「あれ?」
「どうしたの桐?」
「鈴が元に戻ってる?」
「元って。」
「湊お前スゲーわ。」
「何にもしてないよ。鈴が気づいたこと
なんだからね。」
「・・あのね、桐。ごめんね。やっぱり、
謝りたかった。」
「鈴が謝ることじゃねぇよ。」
「ふふ。わかってるよ。だけど、それは
嫌だから。今回は私のせいってことで。」
「いいのかよ。」
「素直じゃないな桐は。良いって言ってるでしょ?」
「辛くねーのかよ。」
「辛くないよ。桐が、いつものように
接してくれればいいの。」
「・・鈴?」
「それが、答えだから。湊これでいいのかな?」
「いいんじゃない。よく言えたね。」
「なんか、子ども扱いしてる?」
「そんなことしてるつもりないけどな。」
「ならいいけど。」
「鈴?大丈夫ってこと?」
「尚。ごめんね。あんなに自分のこと
嫌いにならないでって言ってくれたのに。」
「いいよ。鈴が、悩みぬいて言った言葉でしょ?」
「尚。ありがとう。」
「俺は、何にもしてないから。謝らなくて良いよ。」