黒猫眠り姫〔上〕[完]

「あっ、鈴。みんなで、添い寝する?」

「嫌だ。」

「かるーく傷ついたぞ。」

「ふふ。嘘。」

そう言ってさっきみたいに鈴は桐たちにも

笑った。それは、あまりにも自然だった。

その後、俺よりも先に部屋に入った。

「鈴可愛い。」

「桐っ?」

「ひー湊が。」

「でも、今の笑った顔、みんな可愛い

と思ったでしょ?」

「満もかよっ。」

「尚は?」

「可愛い。」

「あのね、鈴はぜってぇーお前らには渡さんぞ。」

「桐それって古いよ。」

「うぜー。」

魅惑的な笑顔で笑った君は、

残酷にも思えた。

そんな風にいつも笑ってくれれば良いのに。

そう思ったのは、確かなことだった。

「そういや、尚が言ってたよな。」

「何を?」

「鈴って、眠り姫とも呼ばれてるんだっけか。」

「黒猫眠り姫っすよ。」

「あーそれ。確かにって思った。」

「姫っか。確かに、可愛いしね。」

「満が女に可愛いとか言うの初めて聞いた。」

「ああ。確かに。自分でもあんまり言わない。」

「なんだ。それ。」

「湊?」

「眠い。」
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