黒猫眠り姫〔上〕[完]
そう言うと電話を切ると、仕度に入った。
「鈴、服どうする?」
「昨日の乾いてるからそれで行く。」
「そうか。」
「じゃ、車出してくるから仕度終わったら
下に降りてろ。」
「うん。」
チャリンとキーケースを持つと桐は
下に降りていった。
桐の私服は相変わらず、かっこいい。
そんなことを考えているうちに、
着替えも終わって、下に降りた。
桐が車を運転していた。
「そんじゃ行くぞ。」
「うん。」
助手席に座ると車が勢いよく発進した。
運転をする桐は珍しくかっこいいと
思った。でも、よーく考えて見ると、
顔も整っていて、モテないはずがない。
湊よりは、劣っているかもしれないけど、
雑誌やテレビのイケメンと呼ばれる人
よりもかっこいいのは確かだった。
「鈴?何か顔についてっか?」
「ううん。」
「何よ?」
「う~ん。何でもないよ。
運転に集中して。」
「おおよ。」
ふ~んと鼻歌交じりに運転する。
喋らなきゃいいのに。
なんて思いながらも、湊との待ち合わせ
場所に着いた。
車を駐車して、湊の姿を探す。
ちらっと遠くの時計台の所に、
湊らしき人が立っていた。
でも、女達が近くにいて中々、
湊に近づけない。
そう思っていると、
桐が声を上げた。