黒猫眠り姫〔上〕[完]
「もし、迷子になっても二人なら見つけてくれる
って思ってるから大丈夫。」
「そう言われっと、照れんな。」
「二人とも心配性?」
「う~ん。鈴だからね。」
「鈴は危なっかしいっていうか。」
「何か子どもみたいに思われてる?」
「そうじゃないよ。」
「ん?」
「鈴って自覚もないのか?」
「自覚って?」
「あ~こりゃどうしようもねぇーな。」
「あっ、そうだ。みんなで、全身コーディ
ネートを選んで?」
「おお、いいぜ。」
「うん。楽しそうだね。」
「服ってあんまり買わないし、ジャージとか
スウェットとかはよく着るんだけど。」
「そういや、見ねーな。」
「うん。確かにあんまり見たことないね。」
「だから、お願いしまーす。」
「まかせろ。桐様が最高にいいの選んでやっから。」
「う~ん。期待しておくね。」
「あっ、ご飯作りに行くね。」
「うん。」
キッチンに立つ湊がはっきり見えた。
「昨日は、悪かったな。」
「いいって言ったよ。」
「ああ。昨日湊と何かあった?」
「何でだろうね。二人には隠し事出来ないね。」
「はは。そうだな。」
「湊は、いつも分かってくれる。
それが嬉しいことなんだけど、
湊のことは全然わからない。」