黒猫眠り姫〔上〕[完]
「・・・・・・・・」
「湊は、何に苦しんでるのかなって。
思うと私のことを考えてくれる湊に
何も出来ない自分が最低な気がして
嫌だ。」
「湊は、鈴に言える日が来るよ。
その時に、湊を受け止めればいい。
その時に、湊を突き放さないで
やってよ。」
「当たり前だよ。」
「それで、昨日何があったの?」
「えっ?」
「気になってね。鈴、俺たちと居るときは
すごく自分を責めてたのに、部屋に戻ると
湊と普通にしてるし。」
「湊が、一番欲しい言葉をくれたんだ。」
「そっか。」
「うん。もっと早く気づけばよかったんだ。
湊も桐も突き放さないって、もっと早く
知ってたら良かった。」
「でも、結果的に気づいたわけなんだし
いいんじゃねぇ。」
「いいのかな?」
「いいさいいさ。」
「後ね、」
「何ー?」
「桐ありがとうね。」
「えっ?俺何にもしてないよ?」
「桐にも私の欲しい言葉言ってくれた。」
「普通なら、捨てられても可笑しくないのに。」
「何言ってんの?」
「だって、今まで湊みたいに私を見つけてくれる
人なんて現れなかった、桐みたいに話し聞いてく
れたり、警戒してるのに自分から私に話しかける
人なんて居なかったんだよ。」