黒猫眠り姫〔上〕[完]
「鈴・・・」
「だから、一緒に居たいし、
嬉しいも楽しいも湊と桐と一緒がいい。」
「そっか。そんなに俺に惚れたか。」
「好きなんて一言も言ってないよ?」
「そうだな。即否定された。」
「でも、好きだよ。」
桐に向かって自然とニコって笑って言った。
「バカバカで、たまにうっとおしくて、
だけど、誰よりも周りを見ていて、
人の心の変化に敏感で、不器用だけど
優しくて暖かい人。私は好きだよ。」
そう言った瞬間ふわりと抱きしめられた。
「・・桐?」
「俺も好きだよ。意地っ張りで、素直
じゃなくて、たまに毒舌すごくて、
でも、ホントは可愛いこと知ってる
から。誰よりも寂しがり屋なところ
もあるの知ってるから。だから、溜め
込んで辛いなんて思うなよな。」
「・・うん。ありがとう。」
「はは。猫にハグしたみたいだな。」
「・・?湊以外の人に抱きつかれたの
始めてかも。」
「へーそう?」
「うん。」
「鈴の方がバカじゃん。」
「へっ?」
「あんまり、可愛いことすんな。」
「ハァ?」
「鈴の鈍感さには困るな。」
「何処も鈍感ではないから。」
「鈴ってさぁ、恋愛感情知ってるか?」
「恋愛感情?」
「知らなそうな顔だな。」
「わかんないもん。」
「まじっすか?」
「大マジだよ。恋愛なんて興味ないし、
恋愛してる自分なんて考えられない。」