黒猫眠り姫〔上〕[完]
「うるさい。」
短い一言でさっきまで話が止まらないと
言わんばかりに話していた二人がぴたりと
話すのをやめた。
「っで、誰?」
「だから、猫。猫の鈴。
こいつ俺の草縁の相川 桐。」
「なんかわかんないけど、よろしく。
随分、かわいいじゃん仲良くしてね。」
「・・・・・」
警戒のまなざしで桐を見ると、頬を突かれ
た。頬をさすりながらまた見る。
「猫みたい。」
そう一言いうものだから、湊のところに
行こうとする桐の足をひかっけてみた。
ずどんという鈍い音がこだまする。
「~いてーい。」
「どうかした?」
湊が台所から顔を出す。
「鈴ちゃんが・・俺を・・」
「いたずらしてみたくなった。」
「鈴。面白すぎ。」
ぷぅふっといって笑う湊に釣られて
桐も笑う。