黒猫眠り姫〔上〕[完]
「早いかな?」
「うん。昨日もそういえば遅かったし、
その前だって、原稿の確認でいつもより
遅かったし、体壊すよ?」
「そうだね。少し眠さがあったからね。」
「家帰ろう。」
「嫌だな。もう少しここで鈴と二人がいいな。」
「わがままだな。」
「わがままかな?」
「でも、いいよ。私も湊と公園に居たい。」
「はは。鈴だってわがまま。」
ベンチの上で湊を見上げる。
湊は何ともいえないほど気ままだ。
空を見上げながら私を片手に抱きしめている。
「鈴?」
「うん?」
「ちょっと寝ていい?」
「えっ?」
そう言うと湊から離されて、
ベンチの上をとんとん叩く。
ニコッと微笑む湊に逆らえず、
言われたままにする。
ベンチに座ると、湊がふわりと横に
なった。
そのあまりにも自然な行動に一瞬
驚く。
つまり、今私は湊を膝枕していること
になっている。
別に嫌なわけでもないからいいのかなと
思う。湊の茶髪の髪はサラサラしていて
くすぐったい。
「膝枕って初めてした。」
「人に膝枕をするなんて思いもしなかった。」
「確かに、鈴ってしなそうだね。」
「私絶対にしない派だと思う。」
「でも、落ち着くよ。」
「そう?」