黒猫眠り姫〔上〕[完]
湊が居なきゃ、桐にも会えなかった。
だから、そんな湊に今日初めていろいろ
気づかされたんだ。
「ありがとう」
っていい言葉だね。そう思いながら、
湊に伝えたくて仕方ない。
でも、顔を見たら照れて素直じゃなくなる。
それが、わかってるから眠っている
湊に言うしかないんだ。
きっと、明日もいっぱいのありがとう
を思って湊を大切に思う。
あの日この場所で、
出会った私たちに感謝だ。
これからもどうか湊と一緒に
いられますようにと雲が覆い尽くす
空に向かって祈った。
夜の公園。
ベンチの上で、湊にどうしようもない
ぐらいの感情を感じた。
眠っている湊には伝わらないけど、
きっと気づいているだろう。
ご主人様。
私を見つけてくれてありがとうと。