黒猫眠り姫〔上〕[完]
「鈴?」
「何?」
「今日は楽しかったね。」
「そうだね。」
「久しぶりにのんびり出来たし、
よく寝れた。膝は平気?」
まだ心配してくれたのか。
「大丈夫だよ。」
「そっか。良かった。」
「ホントに心配性だね。」
「鈴だからだよ。」
「私?」
「そう、鈴だから。」
躊躇いもせずに私だからと言った
湊に嬉しさを感じた。
「湊はよく寝れた?」
「うん。まぁ、まだ眠いけどね。」
「そうだね。」
「でも、人の膝枕で寝るなんて
思っても見なかった。」
「確かに湊ってそんな感じ。」
「うん?どんな?」
「何か神経質ってわけじゃないけど、
こだわりがあるっていうのかな。」
「こだわりねー」
「ふふ。」
「鈴?」
「何か湊の寝顔も初めて見たから。」
「ああ。そういえば。」
「ふふ。」
「変じゃなかった?」
「変じゃなかったよ。どっちかと言うと、
可愛いと思った。」
「えっ?」
「警戒なしに眠ってるからついそう思った。」