黒猫眠り姫〔上〕[完]
「何か知ってんのか?」
「ううん。ただどこか寂しそうで
同じ匂いがする気がしただけ。」
「そっか。あいつ自身が言うこと
だから何も言えねぇけど、鈴には
言うと思うよ。いつか。」
「うん。そうしたらいいね。
私も言えるかな?桐にも話したいね。」
「話せるよ。だから、あいつのこと
頼むな。」
「うん?」
「俺も毎日出来るだけ来るわ。鈴ちゃん
とも仲良くなれたっぽいから。」
桐の言葉を聞きながらも、湊の背中を
見つめていた。
時間はあっという間だ。
そろそろ帰ると言って、桐は帰っていった。
「随分、桐と仲良くなってたね。
なんか桐に鈴獲られたみたい。」
「そう?でも、湊は、私のご主人様だよ。
湊が飼い主なんでしょ?心配しなくても
鈴は、ご主人にしか甘えない。」
「甘えてるの?」
「ご飯とか?」
そんなことを言っていると急に湊が
近くに来ていた。
「鈴?明日からもここ来てくれる?」
不安そうに聞く湊に動揺しながらも
冷静を保たせていった。