黒猫眠り姫〔上〕[完]

自分がもし辛いときでも、

一番に考えてくれる。

ほっといてと言っても気に掛けてくれた。

それが湊なんだ。

そんな湊に出会えたことが、

私の世界を変えた。

いつまでも、振り返らないよ。

思い出しても、もう泣きたくないから。

過去が変わらないってことを知ってるから、

もう自分を責めたりしない。

泣きたくなっても前に突き進むこと

を忘れたくない。閉じ込めた過去を

心から誰かに話そうなんてまだ出来ない。

でも、湊はそんな弱さを分かってくれてるから、

頑張れるんだよ。

そして世界の中で一番に湊に出会えた

それがこれからを変えるんだ。

どうでもいいことを笑いあって、

時に泣きたくなる日もあって、

そんな日々の中で湊との時間が

何よりも一番大切なんだ。

ありふれた日常を当たり前だと

思いたくないから、これからの

ことをずっと覚えていたい。

思い出して辛いこともあるけど、

きっとそれも大切なんだと思う。

こんなに平凡な休日がいつもより

素敵で胸がいっぱいなんだ。

「湊、明日も一緒だね。」

「うん。そうだね。」

それだけでいい。

それがいい。

そう言うと君は笑うだろう。

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