黒猫眠り姫〔上〕[完]

何だろう?そう考えているとみんな車から

降りていくから私も慌てて出る。

そこに広がった光景は広くて賑やかな

今時な店が立ち並ぶ都会。

人の流れで飲み込まれそうになった体を

湊が大丈夫と肩を叩く。

未知の世界にドキドキする。

「ここ?」

そう聞くと桐がおおと言う。

歩き出した途端気づいた。

周りの女の子の視線に。

確か昨日もあった。

今回は人が多いってこともあるし

尚と満も加わってかさらにパワー

アップ。本人たちは気づいてない様子。

女の子たちからの目線が痛いほど

突き刺さる。考えもしなかった、

確かにみんなそこらへんにいる芸能人

よりもかっこいい。騒がれて当然だな

とのんきに思っていると湊と桐に手を

引かれ尚と満が近くに来て歩き始める。

その時の女の子の視線は今までで、一番

きつかったかもしれない。

それでも、みんな気にする様子がなく

歩き続ける。

そんなことに嬉しさを感じて、

お店が立ち並ぶところで

何か違和感を感じた。

はっと気づくとみんなが

どうすんの?と言った

目で何か言いたそう。

それが面白くてつい笑うと

みんなして不思議そうな顔を

するから何でもないよと言った。
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