黒猫眠り姫〔上〕[完]
「鈴のこともっと知りたくなった。」
「そう?」
「うん。今までホントに好きって思える
友達出来たことなくて。」
「そうなんだ。」
「だいぶ周りに合わせてた自分がいるんだ。
その時が一番嫌いだった。何で周りに振り回
されているんだって思ってたけど、やっぱり
合わせてる自分がいてホントに嫌だった。」
「うん。」
「いつからか学校にも行けなくなってた。」
「うん。」
ただ何も言ってあげられなくて聞いている
ことしか出来ないけど、自分から言う愛梨
のことは知りたいと思った。
「だから、嫌いも好きもあるんだよね。
それは誰だってあるんだもん。仕方ない。」
「見つけられたんだね。それまでいっぱい
辛いこともたくさんあったよね?
愛梨は偉いよ。ちゃんと見つけられたんだ。
だから、ホントに私も好きだよ。」
この言葉は心から思ったこと。
きっと知らないことの方が多い。
でも、分からなくてもこの気持ちは分かる。
好きだよ。友達としての好きって
気持ちすごく大切な気持ち。
言葉はやっぱり難しくて伝わらないかも
しれないけど、伝えなくちゃ分からないから
気持ちを言葉に乗せる。
一つずつ知る。
それが今出来ること。
もっと早く会いたかったっていうのは
嘘じゃない。でも、ゆっくりでもいい。
今がある限りその奇跡を信じたい。
傷にいつまでも囚われるだけじゃ
駄目なんだ。