黒猫眠り姫〔上〕[完]

「俺のこと外見で見てる?」

「そんなことない。」

「でしょ?俺にほっといってって言った

の鈴が始めてだから。外見で人を見る人間

が一番薄汚いと俺は思う。だからどんなに

環境で心が変わってしまっても鈴はそんな

ことしないと思ってるだから鈴は綺麗なんだよ?」

「何で?」

「ご主人は、飼い猫をよーく見てるんだから。」

そういって笑うからなんか嬉しくなった。

「・・鈴?」

「何?」

「そろそろ離れない?」

「えっ、ごめん。」

「ううん。でも俺一応男だからね?」

「・・・・・・・・」

「???」

「へんなの。」

「何が?」

「湊が。」

「どこが??」

「どこもが。」

「えっ・・・・」

私のご主人さまは、温かい背中を持った男の人。

もしかしたら自分と重ねた寂しさで背中に抱き

ついたのかもしれない。その温かさが消えてしま

わないように背中と背中を合わせて眠りについた。
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