黒猫眠り姫〔上〕[完]
だけど、時々誰かに頼りたくて仕方なくなる。
弱さを人に隠していけるほど私は強くなくて、
この広い世界に生きていることが信じられなくなる。
「鈴。」
その声に泣きそうになる。
「・・・・っ私どうしたらいいのかな?」
涙が零れ落ちないように空を見上げる。
「鈴はさ、空の偉大さってわかる?」
「・・偉大さ?」
湊の言葉に耳を傾ける。
桐も隣で黙って聞いている。
「どんな時でも辛いことも楽しいことも
全部知ってくれているのは空なんだと思うんだ。」
湊の横顔を見た。
ニコッと空を見上げて笑う。
それでも独特の目の色から、
悲しそうな気がした。
「鈴、痛いって辛いって思うものって誰だって
あるんだよ。ただ、大きさが違って、受け
取り方が違うんだと思う。僕に鈴の言う辛いが
痛いが分かることは出来ないけど、鈴の
辛さを痛さを知ってくれている人はいる
んだって分かって欲しい。誰も傍に居て
くれなくても空だけは必ず鈴のことを
見てるから、だから信じてあげて、
自分ばかりを責めなくてもいんだって
思うことも一つの強さだよ?」
湊の言葉はいつも重さを持っている。
私にはとても誰かに言ってあげることなんて
出来ない。
「・・・湊、桐。聞いてくれる?」
空を見上げて遠くを見るようにした。
手から伝わるのは二人の温かさと優しさ。
「聞くよ?」
湊の声に桐もうんと言う。
見上げた空が青くて綺麗すぎて
自分がちっぽけに思えた。