黒猫眠り姫〔上〕[完]
「まぁ、とりあいず中入ろう?」
「・・・・・・・」
中に入ると、出て行ったときと
全く変わらない。変わったところ
といえば、親がいないということ。
家を出たと言うのに娘のことなんて
全く気にしないようだ。
それもどこか慣れてしまった。
「鈴の部屋ここ?」
「・・うん。」
ドアを開けると暗い部屋。
カーテンが閉まっていて真っ暗だ。
そのカーテンを勢いよく開けた桐
をぼーっと見る。
「鈴?」
「・・ごめんすぐ準備する。」
「おお。俺、リビング行ってっから。」
「・・・うん。」
気をつかってか分からないが桐が部屋
を後にする。部屋から荷物をまとめる。
意外と物は少なく、10時頃に来て
11時には荷物がまとまった。
桐の居るリビングへ足を動かす。
テレビを見てくつろいでいる姿を
見て呆れた。
「おお~鈴終わったか?」
「のんきだね。」
「あ?」
「ううん。」
そういいつつも横目に桐を見た。