黒猫眠り姫〔上〕[完]
「桐ってホント面白い。」
そう言って笑うとみんなも笑う。
「でも、そういうこと他の人にあんまり言わないでね。」
と湊が言うからうんと言った。
「あのね、こういうの意外と苦手だから。」
私がそう言うとみんなは唖然。
「何で?さっきさらっと言ったじゃん。」
桐の鋭い突っ込み。
「結構恥ずかしい思いしてるんだけど。」
顔が赤くなるのが何となく分かる。
「鈴可愛いねー。」
満が面白いものを見つけたように言う。
「満って意地悪だよね?」
「そんなの最初からじゃん。」
とのんきに言う。
「そういえば、どういう出会いなんだっけ?」
桐が聞く。
「最悪な出会い。」
と一言言うと満も笑って確かにねと言った。
「はぁ?」
「確か、酒を被る前からあそこにいったけ。」
「何で見てたの?」
私が聞くと満は笑いながら頭を掻いた。
「ああいうの苦手だから。」
「苦手?」
意味の分からないことを言うので聞き返した。
「どうやって助けようと思って。」
「へーあれ助けようとしてくれてたんだ。」
私がそう言うと苦笑いでタバコをふかす。
「あの女嫌いなんだ。ってか女嫌い。
めんどくさいしうるさいし泣くし。」
「へー、じゃ男?」
と聞くと焦りながら否定した。
「バカ。そういうわけじゃねぇよ。
ただ、鈴は平気。鈴みたいな女は
初めて見たからな。」
「それ褒めてるの?
それとも貶してる?」
首を傾げると満を下から覗き込んだ。