黒猫眠り姫〔上〕[完]
「鈴、それ何も考えずに言ってるってことで
流そう。」
桐は焦った表情。
「だって、聞いたよ。
好きな女の子ほど苛めたくなるものだって。
桐って何だかんだであたしのことちゃんと
見てくれてるもんね。ホントお兄ちゃんみたい。
あたしも、桐のこと友達だから好きだよ。」
何の迷いもなくそう言うと、呆れた桐の声が
聞えた。
「はぁ~。今の思い空気が一気に変わった。」
ホッとした様子のみんな。
「えっ!?何?あたし変なこと言った?
あ、もちろん湊も尚も満も友達として
好きだよ。桐だけじゃないからね?」
湊はちょっと違う気がする。
ご主人様だから一緒に居る時間が
多いからちょっとだけ他の人よりは
湊との信頼関係が大きく感じる。
「分かってるよ。鈴って相変わらず、
ちょっとした小悪魔だよね。」
満は、にこっり笑ってる。
「満に言われたくない。
小悪魔は満のためにある言葉だと思う。」
ちょっとだけ拗ねる。
「ちょっと、満。
鈴、拗ねると凶暴になるよ。」
桐があたしを見る。
「あたしは、凶暴にならない。」
今度こそ怒ったよ。
もう桐の話聞いてあげないもん。
どこかで、石に躓いて転んでしまえ。
「っお。」
どてんと大きな音に驚く。
「あ、桐、転んでやんの。」
満が笑う。
「えっ!?桐ごめん。
あたしが転んでしまえって
思ったからだ。」
ちょっと悪いこと願っちゃったものだ。