黒猫眠り姫〔上〕[完]

「そんなこと願ってたのかよ。」

ポンッと頭を叩かれた。

「だって桐、意地悪ばっかり。

あたしに恨みでもあるの?

嫌なところあるんだったら

ちゃんと言って?

言ってくれないとわからないから。」

何か気に障ることでもしているのだろう。

それで嫌われたらあたしの人生これから

も変わりそうもない。

ちゃんと言ってくれれば、多少は傷

ついても直す努力は出来そうだ。

「さっきのそのまま返す。

鈴って可愛いからね。

つい意地悪したくなるんだね。」

聞いてホッとした。

「良かった。嫌いになられたら

引き止めることも出来ないし、

たぶん落ち込みそうだから、

桐に嫌いだと思われなくて

良かった。」

これ以上、友達減ったら、

ホントに可哀相な人になる。

「心配すんな。

鈴のころは何があっても

嫌いになんてならねぇから。」

軽くポンと頭を撫でられた。

「ホントかな?

嘘ついたら、桐と一生話さないよ?」

嘘だよ。

たぶん寂しくて死んじゃう。

話せなくなったら、死んじゃうほど、

寂しくなる。

「つかねぇよ。鈴には正直でいる。」

真面目なのか分からないよ。

「その言葉信じるよ。」

昔は疑うことしか出来なかったと思う。

今も半信半疑。

信じるって怖いことなんだ。

何も根拠がないから信じるって難しいことなんだ。

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