黒猫眠り姫〔上〕[完]

「そうなんだ。」

湊に言われたら信じれちゃう。

「何だよ。湊が言うまでは疑いの眼差しで

見てたろうが!!」

桐の言葉に笑ってしまう。

「何だよ?」

わたしが笑っているのが気になるらしい。

「ふふ。桐って可愛いなと思って。」

そう言って笑うわたしに二人も目を丸くする。

「ハァ?何言ってるのこのお嬢さん。」

照れる桐に笑いが止まらない。

「・・ふふっ。」

一人で笑ってるとかなり不振だと思う。

「な、何なんだよ!?」

やっぱり気になるんだ。

気にしなくてもいいのにな。

「だって、あまりにも必死すぎるから。」

そう言うと桐は落ち着き、また激怒した。

「俺、必死じゃない。」

どうしても認めたくないらしい。

「いや、鈴の言う通りなんじゃない?」

湊も自然と笑っている。

つられたのか尚も笑う。

「みんなして何だよ?

俺のことバカにすんな。」

お怒りモードの桐はむくれている。

「桐をバカに何てしてないよ?

ただ可愛いって言っただけ。」

そうだ。

バカになんてしてない。

そこは絶対にしてないと誓おう。

だけど、可愛いと思っちゃいけなかった

のかな?

男の人に可愛いは禁句ワードだったの

だろうか?

どうも、そこらへんは疎くてわからない。

何言ったら喜んでくれるんだろう?

普通は『カッコイイ』とかなのだろうか。

まぁ、否定はしないけど、桐。

口はすべるってあるから言って

あげてもいいけど、それ以上に

桐は『カッコイイ』を他の子から

いつも聞くんじゃないかな?
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