黒猫眠り姫〔上〕[完]
「その自信を尊敬するよ。」
はぁ~。桐の性格って好きだな。
「鈴、心の声それ?」
たぶん聞えてしまったのだろう。
別に隠すことでもないような。
「桐の性格好きってのですか?」
やばいな。桐に敬語使うなんて
思ってもみなかったよ。
さすがに疲れちゃったかな?
「そう。それだよ。」
桐は何だか嬉しそうだし。
「もちろん。湊も尚も同じぐらい
好きだよ。って何言わせるのさ。」
いや、別に自分で言ったから桐
が悪いわけではないけど。
でも、何か自分すごいさらっと
言っちゃったよ。
「鈴ってサバサバしてるよね。
そんなセリフをさらっと言えるとこが
また鈴らしいというか。」
尚がそう言う。
サバサバしてるのかな?
セリフって言っても別に普通だ。
この感情を持てるようになった以上
はもうなくしたくない。
もう手放したくないんだ。
だから、自分でははっきりとして
いたいんだ。
自分の気持ちに蓋をしたあの頃の
自分を思い出すたび胸が痛む。
この感情を手放せばもうきっと
人間として生きていけないような
気がして完全に闇に飲み込まれて
いきそうで怖いんだ。
誰かに私自身を確認して欲しくて
居なくなることなんてもうないと
思うけど消え入りそうなほど、まだ
関係としては深くはないような気がする。
いつ離れても会うことが出来なくなっても
たぶん可笑しくないことぐらい自分でも
よく分かってる。