黒猫眠り姫〔上〕[完]

だから、湊がそう言ってくれて良かった。

このガクガクの足のままだと不自然すぎた。

また湊に心配させるなんて嫌だから、

ばれないように必死だった。

満は全然姿を現さないし帰っちゃったんだよ。

待ってても無駄なんじゃないの?

こんなに待たせて来なかったら、

ちょっとキレる。

冗談でもキレる。

まぁ、帰ってくれば何も言わないけど。

そう思ってたのにすぐ戻ってきた。

爽やかに何事もなかったかのように。

ありえん。

もう少しまたせてごめんぐらいないの?

ちょっと王様じゃないか。

立ち上がって何だかみんな歩き出してるし

ただただついてく。

レストラン行くって言ってたな。

そう思ってると車に乗り込んだ。

だいぶ足は回復したものの。

まだまだレストランには行けないらしい。

煌びやかに光る家!?

「鈴はさ、向こうに行って。」

そう言われたから言われたとおりにした。

部屋に入ると思いっきり腕を引っ張られ

されるがまま。

わたし生きてる?

服は脱がされるし髪は洗われて、

ドライヤー中だし、これはっきり言ってやだ。

自分で出来るのに人にされるのはちょっとヤダ。

いや、激しく嫌。

嫌がって抵抗を試みたが女の人たちの圧倒的な

力によってされるがまま。

もう諦めてきた頃には髪は綺麗に整えられて

服もちょっと着たことないような黒ワンピース。

大人っぽいそれは私にあってるかわからない。

それでも、「お似合いですよ。」と言う

彼女達を信じたい。

最後にネックレスを付けられ仕上がったと見た。

彼女達も随分喜んでいてそれを見てたら

良かったのかなと思えた。
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