黒猫眠り姫〔上〕[完]

桐が居なかったらそう思うと桐が一緒に

来てくれてよかった。桐は、空気の読める

人だと思う。だから、時々助けられてる気が

する。それから、本当は湊が大切なんだと

思う。たまに見る湊と一緒に笑いあった時、

そんな気がした。だから、湊のことが、心配

なんだと思う。桐は、湊のことを確実に知って

るはず。湊がどんな闇に苦しんでいるか。

そのことを知ってるっていうことは、彼も

湊の苦しみを理解しているということだ。

そんな彼がどこか良い人に思えた。

「桐、私桐のこと好きだよ。」

「えっ、俺?」

「友達になってくれてありがとう。」

「あっ、そっちのね。うん。俺も鈴

好きだから、そうじゃなきゃ、一緒に

いねぇから。」

「うん。ありがとう。一緒にいてくれて。」

「なんか、改めて言われると照れる。」

「そう?」

「鈴って鈍感??」

「わかんない。」

「っぽいな。」

昼食はこんな感じで思った以上に楽しかった。

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