黒猫眠り姫〔上〕[完]
視線を湊に向ける。
「鈴が必要としてくれるなら、鈴の傍に居る
からね。」
とびっきりのにっこりした笑顔にたぶん
やられた。
「湊っていつもそうだ。」
湊はいつも余裕で私は湊みたいになれない。
いつも自分で精一杯。
湊からはたくさんもらってるのに、
私は全然返せない。
「ん?」
湊が不思議そうな顔で私を見る。
「・・・降参。」
私はいつも湊に負けちゃう。
「ふはっ。」
様子を見てた桐だけが笑ってて
内心ハラハラ。
「ねぇ、鈴?」
みんなが部屋から出ようとして、
部屋に残ったのは私と湊だけ。
「鈴は自分が可愛いの分かって
なさすぎだよ。」
チュッー
おでこにが熱くて湊の取った行動に
頭が追いつかなくて脳内は嵐。
にっこり笑う湊のせいで顔も
熱くなって、たぶん湊も分かって
しまうほど赤いと思う。
「ははっ。それ反則だな。」
ふわっと笑う湊に自分の知らない
感情が溢れだした。
頬に触れる湊にときめいたのは
言うまでもなくて平然過ぎる湊
に追いついていけない。
湊、今のって・・・・
おでこにチューしたの?
それは愛する飼い猫を愛でるように
俗に言う自分の猫にチューする気持ち
だと思うけど。
私は内心大嵐だったよ。