黒猫眠り姫〔上〕[完]

このドレスアップで気付いた。

ヒールは苦手だということに。

「湊、もしかして酔っ払ってる?」

湊がいつもより喋らない。

そして、ほんのり顔が赤い。

どんなに飲ませても酔わないと桐が

湊のことを言っていた気がするけど。

何か酔ってる感じの湊。

家に着くとクーラーの電源をつけた。

肌にへばりつく汗が気持ち悪くて

先にお風呂へと向かった。

湊はソファーでテレビを見てた。

お風呂を済ませてリビングの方に

行くと湊が俯いてた。

心配になって近づくと寝息を立てていて

眠かったんだと思った。

気持ち良さそうに眠る湊の近くに居たくて

湊の隣に座った。

スーツ姿の湊は色気があってカッコイイと

思った。

お店に行っても声をかけられる湊を見て

これはモテるなと思った。

グラスに麦茶を入れて、テレビを見ていると

湊が起きてお風呂場に向かった。

寝ぼけてるのかと思ったけど、正常だった。

テレビを見て過ごしていると、

湊の匂いが近づいてきた。

はっとして振り向くと湊が髪を濡らして

いて後ろでドライヤーをいじってる。

「鈴も髪乾かさないと風邪ひいちゃうよ。」

湊に声をかけられて頷いた。

ふわりと香るシャンプーが一緒のことに

ドキンとした。

ドライヤーをかけられて髪を触られる。

自分の中でもこの髪は自慢だったりする。

黒くて細いと言われるこの髪が結構好きで。

「鈴の髪は綺麗だね。」

湊に言われて嬉しくなった。

「ありがと。」

嬉しくて、照れ笑いする。
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