黒猫眠り姫〔上〕[完]
「何で可笑しいんですか?」
「まぁ、結局桐もいい男じゃなかったけど
株も下がったもんねぇ。」
バケツにあった水をかけられる。
「ふふ、いい気味。」
「・・・・・・・」
「何も言わないのね。」
「・・・あなたに桐のよさなんて分からないよ。」
「何?あんたまだ言うの?」
「最低。自分が一番醜いってこと知らないの?」
「あんたねぇー、何様のつもり?」
「何様?そんなのどうでもいい。」
「ほんとムカつくわね、もういいわ。」
そういって去っていった。
やりとりをして30分服が、肌にへばり付く。
その気持ち悪さから、身震いがした。
なんとなく、このまま帰ることも出来なくて
つった立ったまま考える。
今日何回目かの憂鬱な気分に重ぐるしくなった。
行き場を失った今、ふっと公園が頭の中を過ぎった。
私は何を言われても別に良かった。
言われなれてるわけで、別に気にもしなかった。
だけど、桐を侮辱する言葉だけは許せなかった。
いつもなら、言い返しなんてしないのに口が
先に動いていた。