黒猫眠り姫〔上〕[完]
一つ目のハグは愛情的なものがすごく感じられる。
ぎゅってした瞬間自然と安心できる優しさを感じ
られる。
ふわりとした感覚に落ち着く。
二つ目は、すごく強くて心臓が鷲づかみされてる
みたいになる。
よく分からないけど、不安になる。
何故か知らないけど心が潰れそうになる。
「今のは、どんな感じだった?」
湊は別に気にしてないと思う。
どんなハグの仕方があっても人それぞれだから
どうってことない。
なのに二つ目のハグがどうしてだか分からないけど、
私の知らない湊って感じがして、突然やってくるから
対処がうまく出来なくてどうしていいのか分からなくなる。
「安心する感じ・・だっ・・た。」
きゅってなる心臓のせいで異常に
心臓が高鳴る。
今の湊に言葉が出ない。
これだから分からない。
湊の気持ちがふとした瞬間変わる気がして、
落ち着けない。
「湊っ・・・」
時々、悲しいぐらい冷たい目をするから
泣きたくなる。
魅惑的な大人っぽい湊を目の前にどうしていいか
分からなくて顔を逸らした。
「鈴?」
ぎゅってするのが強くて痛くなった。
「湊、痛い。」
「あっ、ごめんね。」
怖いぐらいふとした瞬間冷たくなる瞳が
どうしてなのかいつか知りたい。
「湊、ぎゅってして?」
離れてしまうことにもどこか怯えてる自分が居る。
私の前からどんどん離れて行きそうだから、
不安で仕方ない。
「鈴?」
離された距離を見つめると寂しくなる。
突き放されるのは慣れてる。