黒猫眠り姫〔上〕[完]
「湊、私は傍に居るよ。」
離れることなんて出来ないと思う。
私の居場所はもう湊のところ意外ない。
帰って来る場所が1人なのはもう嫌だ。
「そうだね。」
夜道だっていうのに湊の顔がはっきり
見える。
もしね、挫けそうになっても負けたり
しないから。
湊の言葉をいつでも思い出す。
それだけで頑張れる。
「湊って猫飼ってたの?」
そう。
一度聞いてみたいと思ったこと。
「いきなりの質問だね。」
「うん。」
「飼ってなかったよ。」
「えっ?」
「鈴が初めて。」
「飼ってそうなイメージだった。」
「猫飼ってみたかったよ。
でも、懐いてくれないような気がして
飼うのは諦めてた。」
「湊ならどんな猫でも懐きそう。」
「そう?」
「うん。」
「でも、鈴も最初は懐いてくれそうに
なかったよね。」
思い出すのは最初のやり取り。
私ってホント最初は可愛げなかった。
今もそうだけど・・・
「・・・・・・・・・・・」
「それがどうにかしたいなって
思わせたんだよ。」
「えっ!?」
「だって、ほっといてとかいうから
余計ほっとけなくなったからね。」
そうだったんだと思った。
そういえば、ほっといてなんて
言ったな。