黒猫眠り姫〔上〕[完]

「鈴は懐くかなって気がしてたんだ。」

「簡単なヤツに見える?」

「そうじゃないよ。」

「・・・・・・・・」

「鈴だったら振り向いてもらえるように

頑張れそうな気がしたって言いたいんだ。」

「ん?」

「鈴みたいな猫が欲しかったのかもね。」

「私みたいな猫?」

「うん。」

「そんなの嫌になるよ。」

「何で?」

「我儘だから?」

「言うほど、我儘じゃないよ。」

「気まぐれだし。」

「猫ってそういうものじゃない?」

「意地っ張りだよ?」

「そこが可愛いと思うけどな。」

「料理とか作れないし・・」

「作ってあげたいと思っちゃうから

それでいいんじゃない?」

「湊って私に甘いね。」

「愛猫だからね。」

「そうなの?」

「可愛がってるつもりだよ?」

「ふふっ。」

湊が必死みたいで可愛い。

「鈴って最近よく笑うようになったね。」

「えっ?」

「自然に笑えるようになれたんだね。」

「うん。」

「可愛いね。」

「・・・・・・・」

「もっと笑って欲しいな。」

「・・・難しいこと言うね。」

「鈴の笑ったところ好きだから。」

「ホント?」

笑うなって思ってた。

笑っちゃいけないと言い聞かせてた。

そしたら自然と笑えなくなった。
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