黒猫眠り姫〔上〕[完]
「可愛いなって思って。」
「鈴って女だったもんな。」
何か猫で通ってるのがすごい伝わる。
確かに性別関係なくってこの関係だから
維持できるようなものな気がする。
「フラフラしてんなよ?」
桐はちらっと私を見る。
「そんなの分からない。
フラフラして欲しくないなら見てれば?」
私に自由をとったら何も残らない。
「ああ。そうするつもり。」
桐は口元を緩めた。
「戻ってきてくれればどこに行って
何をしてもいいよ。」
湊はにっこりと笑う。
「フラフラでもいいの?」
それはそれで寂しい。
湊にとって私はどうでもいい存在?
「鈴のこと信じてるし、鈴は自由な
方がらしくてそういう鈴じゃなきゃ
駄目な気がする。戻ってきてくれる
存在でさえいれればいい。」
きゅんって心臓が鳴る。
「じゃあ、そうする。」
湊が私のご主人様であることには
変わりなくてそれが変わらない限り、
私の帰る場所は湊のところだけ。
朝食を終わらせて、部屋に戻る。
この間、お出かけした時に選んで
もらった水着を取り出す。
「これ着なきゃいけないのかな?」
黒っぽいとかいいながら、黒地の
水色の水玉模様の水着。
紫色の水玉と迷ってたらしく、湊と桐の一押し
が水色だからこれでいいかって決めた。
初めて着る水着は何か変な感じで、
こんなに露出しなくちゃいけないのかと
思って、Tシャツとショーパンを上から
着た。
夏らしく涼しげな格好だと思う。