黒猫眠り姫〔上〕[完]

「鈴、日焼けすると痛いから日焼け止め

着いたらちゃんと塗るんだよ?」

湊ってたまにお父さんみたい。

「うん。」

めんどくさいけど塗らないと怒られそう。

「今、めんどくさいって思っただろ?」

桐がケラケラ笑う。

「思ってない。」

「ホントか?」

「嘘なんて吐いてどうするの?」

「そうか。」

ホントは図星。

でも、ここで否定しないと湊に怒られそう。

あの温厚な湊はきっと怒ったら怖い。

いつもはとんでもなく優しいけど、

絶対に怒ると怖いだろう。

「鈴、こっちおいで。」

湊が両手を広げる。

「暑いよ。」

桐が居る前ってのもあってちょっと恥ずかしい。

「鈴ちゃん反抗期!?」

「そんなんじゃないよ。」

湊ってたまに抜けたこと言う。

「それじゃ、おいで?」

「ん。いいよ。」

そっと近づく。

ホントは暑くても湊の近くは落ち着くから

一緒に居たいと思ってる。

「イチャつくな。」

「これをどう見たらイチャついてるように

見えるの?」

抱き寄せられては居るけど、抱っこされてる

みたいな体勢。

「鈴ってわかってないよな。」

「何が?」

「それのイチャついてない部分ってどこさ?」

「どこって?」

イチャついてるように見えてるの?

これが普通なんだけどな?

湊も恥ずかしいとか思ってないし・・・
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