黒猫眠り姫〔上〕[完]
後悔なんてしてない。
あの頃の自分を責めてたらいつまでたっても
駄目だった。
そんな自分を責めたりそんなことしても
現実は変わらないから、今ある自分を
しっかりもっていかなくちゃって思う。
それが一番変わっていかなくちゃいけない
ところで、湊と桐がちゃんと見ててくれるって
思えば頑張っていけると思うんだ。
「・・・鈴ちゃん。」
「鈴っ。」
「な、何?」
首を傾げる。
ちょっとだけ、恥ずかしいってキモチがある。
でも、伝えずにはいられなかった。
言わないとキモチが伝わらないの知ってるから、
言葉にしてみた。
そしたら、すごく恥ずかしかった。
「可愛いこと言わないでね。」
「へっ?」
「鈴の馬鹿。」
「桐に言われたら・・・」
「鈴ちゃん、軽く殺せる言葉言ったからね?」
湊の言葉に顔が青ざめた。
私はどうやら湊と桐を殺せる言葉を言ったらしい。
そんなに嫌だったのかなって思いながら、
青ざめた顔でごめんなさいって言ったら
湊はにっこり笑いながら、
「そんなんで言ったんじゃないよ。
あんまり可愛いこと言うと、俺死んじゃうから。」
ふふって笑いながらとんでもないことを言った。
「死んじゃ嫌だっ。」
「俺こそ死ぬんだけど・・・」
桐がぼそりと呟く。
「桐も?」
「おう。」
「ヤダ。」
「・・・・・・」
「それなら、なおさらあんまり可愛いこと言っちゃ駄目
だからね。」
湊がポケットから飴玉を取り出して、
「うん。」
それをもらった。