黒猫眠り姫〔上〕[完]

「海って青いの?」

海なんて生きてきた中で一度も言ってない。

テレビとかそんな世界の話で、

ホントに青いのかどうか不思議なところである。

「それも知らないのか?」

桐は変なものを見るかのように

私に視線を向ける。

「事故るよ。」

運転中によそ見するなんて命が何個あっても

足りない気がする。

「青いかどうかは自分の目で確かめてみたら?」

湊らしい答えがやってきた。

自分の意見を押し付けないそんな湊の言い方には

すごく感心する。

私はそんな言い方出来ない。

「うん。」

夏だからっていいのかな?

私はこんなヤツだけど、

湊を桐をすごく大事に想ってる。



あの人と同じように想ってる。

だから、傷つけないか不安で、

自分で傷つけるようなことに

はもうしたくなくて、いつか逃げるような

ことしてもどうか彼らだけは不幸のないように

ただそれだけが私の想い。



大事に想う人が出来たって言う私の感情は

増えたんだ。





















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