黒猫眠り姫〔上〕[完]
「そいつから手を離せ。」
キッと睨みつける満。
「失せろや。」
言葉遣いの荒い尚にはビックリした。
「鈴、何もされてねぇか?」
「・・・・・うん。」
「されたんか?」
桐はドス黒いオーラ全開。
でも、一番怖かったのは、
「鈴、おいで。」
湊の雰囲気。
さっきの男達も湊を見てから
さっさと退散した。
「ごめんなさい。」
自分の性格が直らないかと本気で考えた。
「ついて来いつっただろうが。」
「うん。」
桐が横で文句を言う。
「心配しただろうが。」
「うん。」
「こういうとこで1人になると危ねぇだろう?」
「うん。」
湊に手を伸ばそうとした。
それなのに伸ばす前に、
「心臓止まるかと思った。」
湊に抱きしめられた。
「・・・湊?」
「勝手に居なくなるなんて許さない。」
「ごめんなさい。」
「何もされてない?」
「うん。」
公共の場だけどいいのだろうか?
真昼間のことだけどいいの?
「何て言われたの?」
「えっ?」
私が思うに湊は心を読める人なのかも
しれない。
湊は私の少ない変化をいつも見破る。
「鈴?」
だから、いつも吐き出しちゃう。