黒猫眠り姫〔上〕[完]

離されて、湊を見上げると心配そうに

してた。

「何でもない。」

いつも頼っちゃうと駄目なの。

いつも吐き出しちゃうと、

湊に迷惑がかかる。

「鈴、駄目だよ。

言わないと分からないんだから。」

「・・・いつものことだし、気にしてない。」

「いつものこと?」

さっき言われたこと。

ムカつくけど、そう思われるのは私が悪い。

こんなんだからそう思うヤツがいて当然だと思う。

「何だよ?」

桐が食いつく。

「鈴、言え。」

満が頭をガシガシしながら、

早くしろって感じで。

「・・・・鈴。」

尚は知ってるかもしれない。

「言いたくない。」

「何、言われたの?」

堅く口を閉じる。


ーさっきのことー

「あんた、美人だしヤラせてくれたら

金やるよ。」

「・・・・・・・・・・・」

「それともこんなに多いのは初めてか?」

「・・・・・・・・・・・」

「上玉のあんた逃すわけにはいかないっしょ。」

「・・・・・・・・・・・」

そうやって言われるのは、初めてじゃない。

たまに学校のヤツにも言われる。

何も喋らないから肯定と言うわけじゃない。

そうやって見られるのにもう諦めついてる。

私はもう変われないんだって思ってる。

そうやって見られるたびすごく嫌になる。

自分を責めたくなる。

だから、信じらんなくて、自分はやっぱり

自分が守るしかすべはないって知った。
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