黒猫眠り姫〔上〕[完]
「鈴、もしかして・・」
やっぱり、尚は知ってる。
「尚、知ってんのか?」
「鈴、俺殴りに行く。」
「いい。」
「でも、・・」
「いい。」
「言われっぱなしで悔しくねぇのか?」
「・・・いいの。」
悔しいに決まってる。
「どういうこと?」
湊が難しい顔する。
「鈴は、学校でも言われてるから、
相手に怒って喚くようなこともしなければ、
泣きもしねぇし、男にナメられて食って掛かられる。」
「慣れたし。」
「どうせ、ヤラせろまがいなこと言われたんだろ?」
「・・・・・・・・」
「ムカつくな。」
尚が怒りを露わにする中、
「誰そいつ。」
「どこの野郎だ!!」
湊と桐がヤバくドス黒い。
「鈴はそれでいいのかよ。」
「いいよ。」
満が納得しない。
「何でだよっ。」
「言ったじゃん。そういう目で見られるの
にもう諦めついた。」
私だって悔しい。
でも、やり返すって言ってもそんなの
して意味があるのか分からない。
それに私じゃ男に敵うわけない。
「泣き寝入りじゃねぇかよ。」
「別にそれって口だけだよ。」
事実、私は誰かに無理やりってのはない。
ヤッたこともないし。
警戒すれば、殴られるってのはあったけど、
それ以上に警察呼ぶ。
そうやって自分の身は自分で守ってきた。