黒猫眠り姫〔上〕[完]

「はぁ?」

「実際にヤラれたことないし、黙ってるのが

一番いいってもう実証済み。」

「・・・そんなんで納得すんなよ。」

「所詮、女だから私は。」

どうすることも出来ない。

「畜生!!」

近くにあった空き缶を蹴飛ばす桐。

「鈴。」

「何?」

「それでどれだけ傷ついてきたの?」

湊はズルイ。

弱ってるのに、そんなこと言うなんて。

「・・・・・・・・」

「鈴の悪い癖だよ?」

「・・・・・・・・」

「そうやって隠すのは駄目だよ。」

「・・・・・・・・」

「悔しいなら悔しいって言っていいんだよ?」

「・・・・・・・・」

「傷ついてるのに隠そうとしないで、

さっき言ったの覚えてる?」

「・・・・・・・?」

「そうだぞ。

俺らがちゃんと鈴を守ってやるって言ったぞ!!」

「・・・・・悔しい。」

泣きはしない。

それで泣いたら嫌だ。

あんな奴らに涙を流すのは勿体無い。

「言ったね?」

「・・・・うん?」

「満、さっきの奴らの特徴は?」

「もう探りに行ってるヤツらが連れてくる。」

「鈴に変なこと言うヤツは許さないから。」

湊が頭をそっと撫でる。

「・・・うん。」

「守るって言葉に嘘はないよ。」

それだけで十分。

もう何も要らない。

味方が居るってだけで、

分かってくれる人が居るってだけで

いいから。
< 337 / 344 >

この作品をシェア

pagetop