黒猫眠り姫〔上〕[完]
「まずは、謝れ!!」
連れてこられたさっきの人たち。
連れてきた人はさっさと居なくなって、
「す、すいませんでした。」
何故か、すごく怯えてる。
土下座するその人たちは、
もうおでこを砂浜にこすり付けて、
謝ってきた。
「とんでもないこと言って、
ホントすいませんでした。
殴ってくれても構いません。」
さっきとは比べ物にならないほどの
態度の変化に驚く。
「・・・もういい。」
それだけ謝ってくれれば気が済んだ。
「まだまだだぞ!!。」
そう言いながら、桐が殴った。
かっ飛ばして、蹴りまで入れた。
桐、相当怒ってたんだと思う。
ボコボコって感じになった
その人たちに、満がこっそりと
低い声で言った。
「次はねぇよ。」
それには若干、私まで震え上がった。
ボロボロになったその人たちは、
気まずそうに去っていった。
「ああいうふうに守ってやっからな。」
桐の拳に血がついてる。
だから、鞄からハンカチを取り出した。
「桐、手に血がついてる。」
「これはさっきの連中のだ。」
「ありがと。」
「言ったろ。鈴はちゃんと守るってな。」
「・・うん。」
「もう傷つけさせないからね。」
湊は始終恐ろしく冷たい瞳だった。
でも、私にはいつもの笑顔を向ける。
「うん。」
守ってくれるっていうのには慣れてない。
でも、守ってくれたのが嬉しかった。