黒猫眠り姫〔上〕[完]
「鈴に何した?」
「貶しまくったわ、ついでに、バケツに
あった水頭から掛けちゃった。」
「お前、最低だな。」
「あの娘が悪いのよ、桐の近くにいるから。」
「鈴は?」
「知らないわよ。あの娘も剥きになって
言い返してくるからほっといたの。
そしたら、居なくなってた。
これで、桐はわたしのものね。」
「俺はものではないし、もう、話かけてくんな
警察呼ぶぞ。」
「えっ。」
急に顔色が変わった女を見て鋭い一言。
「お前嫌い。鈴に何かあったらただじゃおかねぇ
から。」
そういったら、女は泣きそうになってから去ってい
った。正直腹が煮えくり返る怒りを覚えた。
マンションから出ようとしたら、湊に話掛けられた。
「さっきの話本当のこと?」
顔から受け取れるのは心配そうな不安な顔。
「ごめん。俺のせいで。」
「何で桐のせいなの?桐はなんにも悪くない。」
「でも、・・・」
「今は鈴を見つけるほうが先でしょう?」
「ああ。」
顔が少しだけ緩んだ気がした。