黒猫眠り姫〔上〕[完]

「あ、さっき、アイス食ったからか?」

桐にチクられた。

「鈴、食べたの?」

「うん。」

怒られるかなって構えると、

「そっか。それじゃあ、食べきれないよね。」

頭を撫でて大丈夫って言ってくれた。

「桐が食べるから。」

そう言って微笑んだ。

「俺!?」

「責任取ってね?」

不敵に笑う湊はカッコよかった。

「いいけどよ。」

桐に焼きそばを渡すと、

あっという間になくなった。

ちょっと、休憩してウトウトしてた。

後で迎え来るからなって張りきって

行った桐は向こうで泳いでるっぽい。

湊はお手洗いに行ったとか?

桐について行くと言って、

尚も居ないから今は満が近くに居る。

「折角、海来たのに泳がないのか?」

「後で、桐が連れて行ってくれる。」

「ふーん。」

「満は?」

「俺?」

「うん。」

「ちょっと。」

「ちょっと?」

何か、妙に嫌な予感。

これは気のせいだといいんだけど。

それはないと思ったのはすぐのこと。

むくっと起き上がって、

体育座りにした瞬間のこと。

「気抜きすぎじゃね?」

顔を上げた瞬間。

視界が真っ暗になった。

それは太陽が雲に隠れたとかじゃなく、

パラソルがあるからとかじゃなく、

そうなった。
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