黒猫眠り姫〔上〕[完]
「あ、でも鈴のもの上に置かないと、
雨も降ってきたみたいだし、傘取りに
上に行こうか、鈴も濡れてるんだよね?」
「そうだな。風邪引く前に早く迎えに行って
あげなきゃだな。」
そういって、エレベータに乗り込んだ。
部屋に着くと、急いでタオルを持ってくる
湊を見てはっとした。湊は、優しいし、顔
もいい、大人っぽいのかわからないぐらい
な容姿、そんな、男が一人の女の子をとても
心配してる。今までは、そんなことなくて、
心あるのかと思っていたのにそれが、飼い主
としての優しさなのかはよくわからないがひどく
心配しているようだ。自分も心配しているが、
どこか私情は違った気がした。
そんなことを考えていると、湊と一緒にマン
ションを出て鈴を探す。周りはだいぶ探した後
湊がはっとした声を出す。
「ん?湊どうした?」
「公園。」
「あっ、そういえば行ってねぇな。」
「行こう。」
「ああ。」
急ぐ足を公園に向けて走った。
心配は、どんどん募るばかりで、計り知れない。